みなさま、こんにちは。
りのん(Twitter@rinon_life)です。
当ブログ「りのん運用」に訪問いただきありがとうございます。
2020年も残り3か月弱ですね。本当にあっという間!
年末が近づいてくると、よく投資家の間で話題にあがる「損出し」という言葉。損出しとはどういうものなのか、解説していきます!
※今回は「特定口座で取引している」という前提で話を進めていきます。
損出しとは?
損出しとは、含み損のある銘柄を一旦売却し損失を確定させ、確定利益をあえて減らすことで、税負担を軽減(先延ばし)することです。
損出しをすることで、その年に確定した利益や配当金にかかる税金を取り戻すことができます。
損出しを行うためには、下記2つの条件に当てはまるか確認する必要があります。
①今年確定した利益がある ②保有資産の中に含み損の銘柄がある
例を挙げて説明しますね!
今年50万円の確定利益があるとします。
その確定利益にかかる税金は、50万円×20.315%=101,575円となります。
ここで含み損30万円を損失確定すると、50万円-30万円=20万円 実質の確定利益は20万円ということになり、この20万円に税金がかかってきます。
20万円×20.315%=40,630円 これが実際に支払う税金額となります。
支払う税金が6万円軽減される計算になりますね!
「税金はその年に確定した利益に対して発生する」ということを覚えておきましょう!
ちなみに利益というのは売却益、配当益どちらも当てはまります。
損出しは節税ではありません。
結局利益をまた確定させたら税金はかかりますので、税金の先延ばしということになります。
節税にならないのであれば、どうして損出しを行うのか?と疑問に思われるかと思います。
その点は、「損出しのメリット」で解説します!
ちなみに損出しと損切りの違いですが…
再度その銘柄を買い戻すかどうか!
損出しは一旦売却しその後買い戻すのに対して、損切りは買い戻すことはしません。
そのため、損出しは今後株価の上昇が期待できる、または株主優待など保有することに価値を見出せる銘柄で行いましょう!
損出しのやり方
次に、損出しのやり方をお話しします。
①損出しをしたい銘柄を売却する
②翌営業日以降にその銘柄を買い戻す
特別難しいことはありません!これだけです。
ですが②の翌営業日以降にというのが大切なポイントになります。
同日に買い戻してしまうと、取得単価が平均化されてしまいますので、必ず翌営業日以降に買い戻すようにしてください。
取得単価の平均化とは?
特定口座の制度上、「売り」が先であっても「買い」が先にあったものとみなして取得単価が計算される
※一般口座の場合は、その日の時間の経過順に総平均法に準ずる方法で取得単価計算される
1000円で100株保有していた銘柄を、600円で100株売却し、同日に600円で100株買い戻すと…
{(1000円×100株)+(600円×100株)}÷200株=800円 ※手数料は省略
取得単価が800円になってしまう!
これが取得単価の平均化です。
そのため、買い戻しは同日に行わないようにしてください。
買い戻すのは翌営業日以降であればいつでもOKですが、株価が急騰してしまうこともありますので、タイミングを見計らっていると買い戻せなくなってしまうことも…
翌営業日にすぐ買い戻した方が、株価の急騰は防げるかなと思います!
ちなみに信用買いを活用すれば、売却時とほぼ変わらない株価で買い戻すことが可能です。
信用買い…証券会社からお金を借りて株式を買うという取引方法で、証券会社に委託保証金として預けている現金や株券を担保にする
①現物で買った含み損のある銘柄を売却
②同日に信用買いで買い戻す
③翌営業日に②を現引きする
これは、損出しのクロス取引と言われているようです。
信用買いはコストがかかりますので、すぐ現引きするようにしてくださいね!
損出しのメリット
初めに損出しは、節税ではなく税金の先延ばしとお話ししました。
ではなぜ損出しを行うのか?損出しのメリットについてお話ししていきます。
①含み損がなくなる
②運用資金が増える
含み損がなくなる
一旦売却されますので、含み損がなくなります。
これは精神的に大きなメリットではないかなと思います。
買い戻してまた含み損になってしまう可能性ももちろんありますが、含み損を小さくできるというのは、気持ちが楽になりますよね!
運用資金が増える
これが損出しをする大きな理由だと思います。
損出しをして税負担を先延ばしすることで、運用資金を確保することができます。
この資金でまた新たな利益を生み出すというのが、損出しの最大のメリットです。
先延ばししたことによって確保できた運用資金で得られる利益が、プラスの資産となっているため、損出しをする意味があると考えられます。
損出しのデメリット
次に、損出しのデメリットについてお話ししていきます。
①売買手数料がかかる
②株価が高騰し買い戻しができない場合がある
③保有期間がリセットされてしまう
売買手数料がかかる
損出しは含み損銘柄の売却と買い戻しを行うものになりますので、当然そこに手数料がかかってきます。
株数が多くなければ大した金額にはなりませんが、余計にお金を払うことにはなりますので、デメリットのひとつとして挙げておきます。
株価が高騰し買い戻しができない場合がある
この点を心配している方、多いのではないかと思います。
買い戻そうと思ったら、好材料が出て株価高騰!ストップ高!なんてことになったら、損出ししたことを後悔しますよね…
これは先ほどお話しした、信用買いを活用した買い戻しによって防ぐことができますが、もう一つ対応策があります。
それは別の証券会社で買い戻す方法です。
例えば…SBI証券の含み損を売却し、楽天証券で買い戻す
この方法だと売却と同タイミングで購入することができますので、株価の高騰を心配する必要はありません。
ただし、売却する含み損銘柄を保有している証券会社に、確定済みの利益があることを確認してください。
特定口座は自動的に損益通算がされますが、複数口座の損益通算は確定申告が必要になります。
確定申告をしないつもりであれば、複数の口座の損益をひとくくりで考えることはしないでくださいね!
確定申告に関しては、この後少しだけですが解説しています。
保有期間がリセットされてしまう
損出しは一旦売却することになりますので、その銘柄の保有期間がリセットされてしまいます。
保有期間によって株主優待がグレードアップする銘柄もあると思いますが、こういった銘柄を損出しすると、保有期間も一からになってしまいます。
長期保有特典のある株主優待銘柄を損出しする際は、特に注意してください。
損出しの注意点
次に、損出しの注意点をお話ししていきます。
こちらを把握しておかないと、損出しが上手くできなかった!なんてことにもなりかねません。
しっかりと確認しましょう!
①取引日に注意
②仮装売買と判断されないように注意
③NISA口座は非対応
取引日に注意
損出しは、最終取引日の2営業日前である最終受渡日までに終える必要があります。
2020年であれば12月28日(月)までに損出しをしておきましょう。
これを過ぎると株券受け渡し日が2021年になりますので、2020年分の扱いにはなりません。
これまでに行えばいつでもOKですので、余裕をもって行うようにしましょう!
仮装売買と判断されないように注意
損出しは、仮装売買と判断されてしまうことがあるので注意が必要です。
仮装売買とは、同一人物が同じ価格で売買をぶつけて、相場が活況になっているように見せかけることです。
相場操縦になり、詐欺行為にあたります。
取引量が少なければ基本的には問題ないようですが、出来高の少ない小型株では相場が大きく動いて疑われることがあります。
手数料はかかりますが、立会外取引であればこのリスクを除外できます。
仮装売買になることが不安!という方は、立会外取引も検討してみてくださいね。
仮装売買になるかどうかは判断できかねますので、自己責任での対応をお願い致します。
NISA口座は非対応
NISA口座はそもそも売却益や配当益に税金がかからない口座になっていますので、損益通算ができません。
そのため、NISA口座での損出しはできませんので注意してくださいね。
損出しをした場合の確定申告
特定口座(源泉徴収あり)で取引している場合、配当金・分配金・売却益は、同じ証券会社の特定口座内で発生した売却損や支払手数料・金利などの費用と自動的に損益通算されます。
そのため、特定口座(源泉徴収あり)の損出しは確定申告をする必要はありません。
ただし、①繰越控除をする ②複数口座の損益通算をする ③外国源泉徴収税の還付を受ける場合は、確定申告が必要となります。
また確定申告する場合は、損出し・損益通算をすると申告分離課税方式を選ぶ必要があります。配当控除が受けられる総合課税方式は選択できませんので、この点も注意が必要です。
配当控除…配当所得の一定割合を税額から差し引く制度
おわりに
今回は損出しについて解説しました。
損出しの必要性は、各々の状況によって変わってくると思います。
また、損出しは仮装売買とみなされる可能性があります。
デメリットや注意点もいくつかありますので、ご自身でよく考えて、損出しを行うかどうか判断していただければと思います。
私も保有銘柄を再度見返して、損出しをすべきかどうかゆっくり考えたいと思っています♬
今回のブログは以上になります。
最後までお付き合いいただきありがとうございました♡♡
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